遺言書が偽造されたら?証拠を揃えて立証する方法

遺言書が偽造されたら?証拠を揃えて立証する方法

遺産相続において、遺言書が大きな役割を果たすことは言うまでもありません。しかし、時には遺言書が偽造されるケースもあります。偽造されると、正当な相続人が本来受け取るべき財産を手にできなくなる可能性があり、深刻な問題に発展します。遺言書が偽造されたと疑う場合、立証が求められますが、どのような証拠が必要なのか、またその立証方法について解説します。

遺言書が偽造された場合、それを立証するための最も重要な証拠の一つが「筆跡」です。例えば、記載された署名や文章の筆跡が、被相続人の通常の筆跡と明らかに異なる場合、偽造の可能性が高まります。この場合、日常的に被相続人が書いていた手紙やメモ、あるいは日記などの書面と比較することで、筆跡が一致するかどうかを確認します。専門の筆跡鑑定士に依頼することで、より精度の高い鑑定結果を得ることができます。

また、被相続人の健康状態や精神状態も重要な証拠となります。例えば、被相続人が遺言書を作成したとされる時期に、認知症を患っていた、もしくは入院中であり、自分で作成できる状態ではなかったという医療記録がある場合、その遺言書が偽造された可能性が高くなります。カルテや介護記録、診断書などの医療関連の証拠を集めることで、作成時の被相続人の状況を明らかにし、偽造を立証する根拠となります。

さらに、遺言書の内容が不自然であることも偽造を疑う理由となります。例えば、長年連絡を取っていなかった親族や、被相続人と全く関係のない第三者に大部分の財産が遺贈されている場合、その内容が被相続人の意志に反している可能性があります。内容と、被相続人の生前の行動や発言が矛盾している場合、偽造の可能性を強く示唆します。この場合も、被相続人と親しかった友人や家族の証言などが、重要な証拠となるでしょう。

これらの証拠を元に、遺言書が偽造されたと主張する場合、遺言無効確認訴訟を提起することが一般的です。この訴訟では、偽造を証明するために集めた証拠を裁判所に提出し、遺言書の有効性を争います。訴訟に持ち込む前に、弁護士に相談し、証拠の整理や戦略を立てることが重要です。裁判においては、提出された証拠が決定的な役割を果たすため、しっかりとした準備が必要です。

遺言書が偽造されたと感じた場合、早急に対応することが求められます。証拠を収集し、専門家の助けを借りて、適切な手続きを踏むことが、遺産相続における権利を守るための第一歩です。偽造された遺言書により、正当な権利を失うことがないよう、慎重かつ迅速な行動を心掛けましょう。